第394回
不動産はどう分ける?
相続が発生して、
遺産分割をするときに遺産が現金や預金だけであれば、
分ける割合は問題となりますが、
分け方は問題となりません。
例えば、6,000万円の預金を
子供3人で分けるケースでは、
法定相続分通りで分けることに決まれば、
1人当たりの相続分は3分の1ですから、
1人2,000万円ずつ取ればよいということになります。
ところが、残された遺産が不動産だけであると、
分ける割合が問題となる他に、分け方も問題となります。
6,000万円の自宅だけが遺産として残され、
子供3人で分ける場合を考えます。
まず、この自宅を誰が取るのかが問題となります。
住んでいる人がいれば、
当然自宅は自分が欲しいと言うでしょうし、
不動産を資産として欲しいと思っている人も
自分が取得することを主張するでしょう。
次に、自宅を誰が取るのかが決まったとしても、
それでお終いというわけではありません。
それで終わりなら、
自宅を取った人の一人勝ちになってしまいます。
法律は、一人勝ちを許していません。
建物を子供の1人が取れば、
他の2人に相続分に見合うお金を払わなければなりません。
これを「代償金」といいます。
その代償金の計算の際に、
現金や預金なら6,000万円は6,000万円ですが、
不動産の6,000万円は、
実際に売ってみないと6,000万円なのかわかりません。
代償金を払う方は、
そんなに高く売れるはずがないと主張するでしょうし、
代償金をもらう方はもっと高く売れるはずだと主張します。
そんなに高く売れると思うなら、
自宅はそちらに相続させるから、
より高い金額で算定した代償金を払ってくれ
と言ってくるかもしれません。
逆に、そんなに安いなら、
自分が自宅をもらって代償金を払うと言ってくるかもしれません。
このように不動産が遺産の中にある場合、
誰が取るのか、誰が取るか決まったとしても、
その評価や対価(代償金の額)を巡って争われることが多いです。
一番すっきりするのは、
売って代金を相続分通りに分ける方法です。
そうすれば、不動産の価値が明確になります。
しかし、それでは不動産の譲渡益に所得税がかかり、
取り分が少なくなってしまう可能性もありますし、
何よりも両親の残した自宅を
なくしてしまうことになってしまいます。
遺産に不動産がある場合は、
これらの考え方を調整して、
相続人同士が納得できる
一番良い分割方法を考えるということになります。
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