第373回
成果主義はリストラの手段?
前回、年功序列賃金制度は、
企業が右肩上がりに成長し続けないと
なかなか維持が難しいのではないかというお話をしました。
それにもかかわらず、
成果主義の評判が悪いのは、
成果主義がリストラの手段、
要するに、賃金カットの手段に使われたからだと思います。
成果主義を採用したら、
従業員の給料が全員増えた、
少なくとも過半数の労働者の給料が増額される結果となれば、
こんなに成果主義が非難されることはないと思います。
成果主義が採用された大きな理由は、
バブル経済崩壊後、
会社の売上が少なくなって、
これまでどおり、従業員全員に
給料を増額することができなくなったからだと思われます。
だから、
従業員の多くがそれまでの待遇よりよくなるはずがありません。
また、2年くらい前に、
日本では、上場来最高益を計上した企業が多く出ました。
その際、従業員の平均給与は、
上場来最高額になったでしょうか?
そのような報道はなされませんでしたし、
むしろそのときの報道では、
給料のアップは限定的だったと記憶しています。
結局、成果主義を取った場合に、
具体的にどのような成果を上げたときに、
給料がどれくらい上がるかが明確になっており、
一定の割合の人が実現可能でないと、
成果主義と言いながら、
成果を上げて昇給する人がいないということになりますから、
成果主義という名のリストラになってしまいます。
ただ、売上に対する労働分配率や
どの程度の仕事に
どれくらいの給料を支払うかなどの基準を作ることは、難しく、
口で言うほど易しくないのが、
従業員の給料の問題です。
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