弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第365回
一発当ててもお金持ちになれない

以前、本を書きたい、
作家になりたい人は多いけれども、
執筆した本の印税で生活するのは難しいという話をしました。
それは、生活していくくらいの収入を得るには、
相当たくさんの本が売れなければならないのに、
現実は、出版された本は、
一部の本を除いて、あまり売れていないからです。

では、執筆した本が、当たったらどうでしょうか?
前回言いましたとおり、
1冊1500円の単行本がミリオンセラーになれば、
印税収入が1億5000万円です。
かなりのお金持ちになったと思います。

しかし、いきなり書いた本が当たったからと言って、
1億5000万円を全て使えるわけではありません。
HiQをごらんのみなさんは、
よくご存知だと思いますが、
もちろん、税金があるからです。

執筆した本が急にヒットした場合、
自分でヒットするとは思っていないでしょうから、
節税対策などはしておらず、
収入から控除できる経費もあまりないと思います。

とすると、1億5000万円の収入は、
所得としてまるまる税金がかかってしまう可能性があります。
今は、1億5000万円の所得があった人には、
所得税と住民税を合わせて、
50%くらいの税金がかかります。
とすると、7500万円は、
税金として持っていかれることとなるのです。

残りは、7500万円です。
お金持ちになったと思って、
急に高級マンションなどを購入すれば、
すぐに無くなってしまいます。

また、住民税(所得の10%、即ち1500万円)は、
所得の発生した翌年に支払うことになりますから、
所得税を支払った時点で、
残ったお金を使ってしまうと、
住民税が支払えないということにもなりかねません。

今は、税金が所得税住民税合わせて50%ですが、
以前は、90%以上の時代もあり、
いわゆる一発屋の人には、かなりつらかったと思います。

もし、執筆した本が当たったら、
まず税理士さんに相談してから、
お金の使い道を考えた方がよいかもしれません。





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2008年6月12日(木)

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