弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第268回
詐欺と約束違反は違う

みなさんは、
相手が約束どおりにお金を払わないときには、
「詐欺だ。」とか「騙された。」
と思うことでしょう。
実際に、相談に来られる方も、
「詐欺の被害に遭いました。」
「騙されました。」
と相談されることが多いです。

でも、法律的に厳密に言うと、
単に約束に違反した場合と詐欺の場合は、違います。
単なる約束違反は、民事で、
お金を払えという請求しかできません。
詐欺の場合も、
もちろん取られたお金を返せという請求はできます。
お金の請求という民事の面では、
詐欺も約束違反も同じです。
しかし、詐欺の場合は、
騙した人を警察に刑事告訴することができるということが、
単なる約束違反と異なります。

民事のお金を払えという請求の場合、
詐欺であっても約束違反であっても、
相手が任意に支払おうとしなければ、
判決を取って、相手方の財産を差し押さえる他ありません。
ところが、詐欺をするような人間は、
自分名義の財産を持たないのが普通です。
したがって、判決は取っても、
お金が回収できないということは、
詐欺の事案ではよくあります。

そこで、どうせお金が払われないのであれば、
相手に刑事罰を受けさせてやりたいと思うのが人情です。
ここで、詐欺と単なる約束違反が大きく違ってくるのです。

詐欺の場合は、詐欺罪となり、
10年以下の懲役となります。
ところが、単なる約束違反は、
刑事事件にはなりません。
詐欺ではなく、単なる約束違反となると、
お金は払ってもらえないし、
刑事罰を科すこともできないのです。
では、どういう場合に詐欺になるのでしょうか?





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2007年6月26日(火)

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