弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第261回
ドラマ「わたしたちの教科書」

現在、「わたしたちの教科書」というドラマが放映されています。
ドラマの内容は、
今のところの僕の理解では、
学校で、いじめによる自殺という疑いのある転落事故があり、
学校は、いじめがあったことを隠そうとし、
主人公の弁護士が
死んだ生徒と過去に関わりがあったこともあり、
その真相を裁判によって、
明らかにしていくというものです。

このドラマで扱っているのは
育児放棄された生徒に対する
学校内のいじめという重い話で、
しかも、真実がなかなか明らかにならず、
登場人物もみな正義感を持った前向きな人間ではないので、
あまり見ていて気分のよいものではないかもしれません。
だから、視聴率はあまりよくないと思います。

でも、個々の先生が
職場を離れた私生活で問題を抱えていたり、
いじめを暴こうとしていた熱血先生が
学校側に取り込まれてしまったりするなど、
通常の学園もののドラマより、
先生や学校がかなり現実的に描かれています。
このドラマのように、会社でも、学校でも、
組織の中の不正を明らかにするのは、
並大抵のことではできません。
組織の不正を暴くということは、
自らの生活基盤を揺るがすことになるからです。
だから、組織に不平・不満があったとしても、
組織の中にいる限りは、
組織を守ろうという意識が働いてしまいます。
人は、自分の生活が守られているのであれば、
敢えて、それを失うような面倒なことはしないものです。
それは、学校でも、会社でも、同じことです。

その中で、証拠や証人をどのように確保して、
真実を明らかにして、
裁判に勝つのかというのが難しいところです。
ドラマは、退職した先生から有力な証拠を得て、
訴訟を起こしたところで、
裁判でどのように立証していくかはこれからです。
これまでは、勧善懲悪ドラマというわけではなく、
現実の難しさが描かれていて面白かったと思いますが、
今後の展開は、僕にもわからないので、
裁判のドラマとして面白くなるかどうかはわかりません。





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2007年5月31日(木)

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