弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第225回
保証人の財産は全て差押の対象

読者からの質問への回答の続きです。
2、連帯保証した場合、
今後、私が、自分で、資本をつくり、
会社を起こした場合、
私の名義の株券も差し押さえられるのでしょうか?

連帯保証した会社が、
借入れの返済ができなくなった場合、
担保に入れた土地だけでなく、
会社の財産は、全て、
返済のために差押えの対象となります。
昨日の例で言うと、
借金1億円、6000万円返済済み、
残借入金4000万円で、
会社の持っている土地2000万円
(担保権(抵当権)設定済み)というケースで、
会社が破産すると、
銀行は、土地を競売にかけて2000万円を回収し、
残借入金は2000万円となります。

銀行の担保に入っていない預金100万円、
売掛金200万円があったとしても、
銀行は残借入金の返済ために、
これらの預金や売掛金を
差し押さえることができます。

同様に、保証人に財産があれば、
保証人の財産を全て押さえることができます。
ご質問のように、連帯保証した時点では、
あまり財産がなかったとしても、
主債務者が何年かかけて
6000万円の返済を続けている間に、
連帯保証人が、
中国株で1000万円の資産を形成したとすれば、
銀行はこの中国株を差し押さえて売却し、
売却代金から返済を受けることができます。

それは、預金でも、マンションでも、
給料でも同じです。
会社の返済が止まったときに
持っている財産は
全て差押えの対象となります。

したがって、ご質問のように、
会社を設立して、
事業を営んでいるようなケースでは、
その会社の株式を差し押さえることも可能です。

しかし、会社が上場もしておらず、
利益も出ていないような会社であれば、
株式を差し押さえたとしても、
購入する人は誰もいないでしょうから、
それほど心配することはないかもしれません。

ただ、上場が狙えるような
有望事業だったり、
上場していなくても、
経営内容がよい会社であったりすれば、
その会社がほしいという人も
いるかもしれませんから、
株式を差し押さえてくるかもしれません。


←前回記事へ

2007年1月18日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ