弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第206回
ロースクールはゆとり教育の二の舞か

詰め込み教育が悪いということで、
導入されたゆとり教育は、
最近になって、
反対が多くなり、
見直されることとなりました。
今、ゆとり教育を
擁護する立場で意見をすれば、
マスコミ等で徹底的に叩かれるでしょう。
しかし、ゆとり教育導入のときには、
どうだったんでしょうか?
よく覚えていないのですが、
詰め込み教育に
賛成する意見を言ったら、
受験戦争擁護者として、
これまた叩かれるという
状況だったのではないか
と思うのです。
今、ゆとり教育反対の方たちは、
ゆとり教育導入のときには、
どういう立場だったのでしょうか?

さて、司法試験も、
予備校による詰め込み教育では
良い法曹が育たないという理由から、
法科大学院(いわゆるロースクール)
制度が導入されました。
確かに、ロースクールの
カリキュラムなどを見ると、
僕が授業を受けたい
と思うような授業もあります。
しかし、法科大学院に行く人は、
法学部以外を卒業し、
それまで全く法律の素養が
ない人も含まれています。

多様な人材を確保する
という意味では、
そういう人が法曹
(弁護士、検事、裁判官のこと)を
目指すことは
必要だと思いますが、
法的な基礎知識が
身に付いていない人が、
いきなり応用問題を
考えさせられても、
なかなか消化は
できないのではないでしょうか。

まさに、この点は、
ゆとり教育と
詰め込み教育の問題が、
そのまま当てはまる
ような気がするのです。
ゆとり教育の目的は、
詰め込む量を少なくして、
考える量を多くする
ということだったと思います。
しかし、世間では、
ゆとり教育はけしからん
ということで、
方向転換されています。
ロースクールでの教育が、
ゆとり教育の
二の舞にならなければよいと思います。

ロースクールの卒業生が、
今年、初めて
司法試験に合格しました。
この人たちが、
司法研修を受けた後に、
今後どのような
法曹になって行くのか注目です。

現段階では、
ロースクール組と
旧司法試験組との両方が
法曹になれますが、
旧司法試験組の方が
優秀なのではないか
などという人もいます。
実際のところはどうなのでしょうか?


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2006年11月9日(木)

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