弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第193回
1000万円を500万円にするメリット

裁判で、お金を請求するときには、
みなさん、全額認められ、
全額回収できると考えるでしょう。
例えば、1000万円の請求をするときには、
1000万円と、
本来、相手が支払うはずだった期限からの
利息も払ってもらえると
考える人も多いと思います。

AさんがBさんに、1000万円を、
平成18年8月末が返済期限として貸したのに、
返してもらえないので、
裁判を起こすとしましょう。
利息を決めていないとしても、
法律(民法)により
個人間の貸付では
年5%の利息を取ることができます。

そこで、Aさんは、
1000万円と平成18年9月1日から完済まで、
年5%の利息をつけて返すよう請求します。
まず、裁判で請求が認められるためには、
借用証や金銭消費貸借契約書、
領収書など、
Bさんが1000万円を借りた証拠が必要です。
証拠がなくても、
Bさんが、Aさんから
借りたことを認めれば、
Aさんの請求は認められます。

このように、証拠があるか、
BさんがAさんの請求を認めれば、
裁判で判決を求めれば、
裁判所は、Bさんは、
Aさんに1000万円と
平成18年9月1日から完済まで
利息を付けて返しなさい
という判決を出してくれるでしょう。

しかし、証拠もあり、
Bさんも認めているのに、
1000万円の請求を500万円にした方が
得するというケースがあります。
それは、Bさんに収入や財産がなく、
Bさんが500万円ならば、
親類等から用立ててもらい、
一括で返せると言っている場合です。

日本の法律では、
判決をもらって、
相手が払わない場合は、
債権者が相手の財産を差し押さえて、
換金してお金を回収することになっています。
しかし、収入も財産も
はっきりしないのでは、
差押をしようがありません。
差し押さえができないと、
判決はただの紙切れです。

そこで、半額の500万円であれば、
Bさんが何とかお金を用意して
払うと言っているような場合には、
それをもらって
残額や利息は放棄した方が、
損をしたようで
結果的に得する場合が多いのです。


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2006年9月26日(火)

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