弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第179回
商品先物取引のリスク

電話による勧誘で多いのは、
マンション販売と先物取引でした。
しかし、ここ1年くらい
先物取引の勧誘の電話が減ったような気がしませんか?
そもそも商品先物取引とは、
みなさんご存知のとおり、
大豆やとうもろこしなどの農産物や
ガソリンや金・銀などの工業資源などの
将来の一定時点での価格でする取引です。

商品先物取引は、本来、
生産者が将来も
安定した価格で売却できることや
それを使用する事業者が安定した価格で
購入することができることの
リスクヘッジのために生まれた制度です。
だから、元々は事業者同士、
あるいは事業者の
リスクを引き受ける
余裕のある投資家が
参加することを前提としています。
将来一定時点の価格を予想して
取引をするものであること、
拠出した証拠金の
10倍もの取引を行なうことから、
儲かったときの利益も大きいけれども、
損するときは損害額も大きくなる
ハイリスクハイリターンの投資です。
株の現物取引と決定的に違うのは、
株の現物取引では
出した資金の範囲でしか損をしません。
しかも、永遠に持ち続けることもできます。

しかし、商品先物取引では
損が拡大すると追証と言って、
追加の資金提供を強制されることとなります。
また、一定の日時が来ると、
売り買いの取引の決済をしなければなりません。
商品先物取引は、
普通の人に馴染みのある
一般的な株式投資、
即ち株の現物取引とはかなり違うので、
株の取引経験があったとしても、
なかなか取引の仕組みを理解して
利益を上げていくのは難しいところがあります。
それにもかかわらず、
商品先物取引を行なっているのは、
一般の方が多いんです。
平成9年時点の資料では、
生産者や商社などの本来先物取引で
リスクヘッジをすべき
事業者の取引は数パーセントで、
残りは先物取引業者と
一般の投資家だったようです。
この理由は、次回にお話しします。


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2006年8月8日(火)

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