弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第158回
ファンドは悪者か

前回、株主は
会社の持ち主だという話をしました。
だから、会社の経営方針は
株主が決めてよいのです。

昨今、ニッポン放送(引いてはフジテレビ)などの
有名企業に対する敵対的買収が
行なわれようとしたため、
会社は誰のものという
哲学的な議論が多くなされています。
しかし、法的には、
会社は、株主のものです。

確かに、会社には、
役員、従業員、取引先、顧客などが
関係しています。
でも、株主が会社の所有者であり、
会社は、株主に儲けさせるために、
存在しているのです。
だから、株主が、
会社(経営者)に対し、
もっと儲かる経営をしろというのは
当然のことなのです。

株式を購入する人は、
将来株が値上がりすることを期待して買う人が
ほとんどだと思います。
株が値上がりするのは、
会社が将来利益を
たくさん稼ぐだろうという期待があるからです。
ファンドも、基本的には、
同じ考え方で株式を購入します。

ただ、みなさんの株式投資と異なるのは、
資金力が大きいので、
その取得する株式数も多く、
会社(経営者)に対し、
影響力を持つことです。
ファンドが、発行済株式数の
過半数を取得した場合、
自分の考え方に沿うような役員を
選任できますから、
会社を自由にすることができます。

しかし、当然、
違法なことはできません。
また、従業員や取引先、
顧客などに反発を受ければ、
効率的な経営はできないでしょうから、
会社は思ったように利益を上げられず、
株価は下がることとなります。
すると、株式を多数購入したファンドは
大きな損失を被ることとなります。
したがって、
ファンドだからと言って、
そんなに無茶な経営はできないはずです。

ファンドは、その金額なら
売ってしまった方がよいと考える売主に対し、
実際にお金を出して
株式を購入しているのですから、
失敗すれば損をするという
リスクを取っているのです。
そのようなファンドの行動が悪い
というのであれば、
株式市場や資本主義という制度自体
成り立たないと思うのですがいかがでしょうか?
また、そのようなファンドは
誰にとって悪者なのでしょうか?


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2006年5月25日(木)

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