弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第149回
保証人に朗報

「迷惑はかけないから」と言われてなるけれども、
「いざというとき迷惑がかかる」のが
保証人だという話をよくしていると思います。
今日は、少しだけ、保証人にとって良い判決が出た話です。
知り合いの会社の保証人になったところ、
その会社は半年後に倒産してしまったというものです。
当然、会社にお金を貸した金融機関は、
保証人にお金を払えという請求をして来ます。
これに対し、保証人が、「保証人になるときに、
既に、倒産することが必至の状態であると知っていれば
保証人にならなかったのだから、保証は無効だ」と争いました。

1審は、「保証人になるということは、
会社が倒産すれば自分が返済することとなるということを
わかっていた」という理由で、保証人が敗訴しました。
しかし、控訴審では、「保証人になるときに、
もう会社の経営が破綻していて、保証人になれば、
すぐに保証人として返済を迫られる状況であったことを
知っていれば保証人にならなかった」
という保証人の主張を認めて、
保証人が責任を負わないことを認めたのです。

ただ、この事案は、保証人になる時点で、
会社が倒産することが明らかであったこと、実際、
保証人になってから、すぐに会社が倒産してしまった
という点がポイントで、適用されるケースは
限定されるかもしれません。
また、同様のケースでも実際に裁判をしたら、
必ず勝てるとはなかなか言えない難しい裁判となります。
だから、これまで、何度かお話ししたように、
保証人になるのは、慎重にした方がよいに決まっています。

それでも、紹介した判決は、裁判所が、
地方裁判所よりも上の高等裁判所で、このような理論で
保証人が責任を負わないことを認めた点で画期的です。
これまで、上記のような主張を保証人がしても、
あまり裁判所には取り上げてもらえなかったと思います。
しかし、これからは保証人が上記のような理屈で裁判を争い、
責任を負わない可能性が出てきたのです。


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2006年4月20日(木)

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