弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第147回
税金・保険料徴収に2兆円

少し前の朝日新聞によれば、日本総研が税金や
社会保険料の徴収にかかる費用を試算したところ、
約2兆円で、徴収額127兆円の1.57%にあたり、
アメリカやスウェーデン(0.5%)、
イギリス(1・04%)に比べて高コストになっているそうです。
記事によれば、徴収機関が、国税は国税庁、地方税は
地方自治体、社会保険・国民健康保険・国民年金保険などの
保険料は社会保険庁と、税金や保険料の種類毎に
分かれているからだそうです。

実際、弁護士として、会社の破産や再建、借金の整理などを
するときには、それぞれが別々の手続で差押えなどしてきます。
国税も地方税も税金です。国民年金や健康保険料も、
どうせ誰もが払わなければならないお金です。
支払わない人から回収(徴収)するのであれば、
1つの機関で行なったほうがよいことは言うまでもありません。
収入が少なく、財産もないので、なかなかこれらを
支払えない人に対して、支払いを減額したり、
猶予したりする交渉も1つの機関が行なう方が効率的です。

税務署や国税庁は、税金を徴収するために、
個人や会社の財産を調査する強大な権限を与えられています。
これを利用して、1つの機関で、健康保険料や
国民年金を回収できるようになれば、
問題視されている不払いの問題は大分改善されるはずです。

先ほど触れたように、収入が少なく、
財産もないという人には、税金、健康保険料や
年金の支払いについて、考慮しなければならない
ということはあると思います。
しかし、支払能力があるにもかかわらず、
支払っていない人や会社に対しては、きちんと、しかも
効率的に回収して欲しいものです。そうでないと、
これからの少子高齢化社会で財源不足になると、きちんと
支払っている人あるいは取りやすい人の税金、
健康保険料、年金の支払額が
上げられるということになってしまうからです。


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2006年4月13日(木)

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