弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第84回
権利証を紛失したら

これまで、権利証を紛失したときには、
保証書という書類で
権利証の代わりとしていました。
保証書というのは、
不動産を所有している人2名が、
登記の名義人が
土地や建物の所有者であることを
保証する書面のことです。
お金を借りるときの保証とは関係ありません。

しかし、自分の知り合いが
土地や建物を持っているとは限りませんから、
保証書を作成する場合に、
保証人となってくれる人を探すのが大変でした。
司法書士に手数料を支払って、
紹介してもらうのが普通だったと思います。
弁護士や司法書士など資格を持っている人でも、
不動産を持っていなければ
保証人にはなれませんでした。

今回、不動産登記法が改正されて、
この保証書の制度も廃止されました。
保証書が悪用されることも多かったからです。

今後は、権利証を紛失した、あるいは、
前回の登記識別情報を紛失したという場合には、
「事前通知制度」や
「資格者による本人確認情報提供制度」の
2つの方法のどちらかになります。

事前通知制度は、
登記申請がなされていることを
法務局から本人に対し
本人限定受取郵便で通知し、
本人が登記を申請したことに
間違いないか確認する制度です。

もう一つの資格者による
本人確認情報提供制度は、
登記の名義人が土地の売主であることに
間違いがないことを、
弁護士や司法書士が
法務局に証明書を提出するという制度です。

不動産登記法は改正されましたが、
前の2つの方法を利用すれば、
権利証や登記識別情報を紛失した場合に、
登記することは可能ですから
ご安心ください。

ただ、これまでは
保証書という制度により登記をしていたけれども、
今後は、「事前通知制度」か
「資格者による本人確認情報提供制度」に
よることとなったことは
覚えておいてもよいかもしれません。


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2005年8月9日(火)

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