第71回
時間が経てば借金が無くなる
お金を貸したり、物を売ったりすると、
当然、お金を返してもらう権利
(「貸金返還請求権」と言います。)や
代金を請求できる権利
(「売買代金請求権」と言います。)が発生します。
逆に、お金を借りたり、
物を買ったりした方からすれば、
お金を返したり、
代金を支払ったりしなければならない
法律上の義務が発生します。
実際の社会では、
約束どおり払われない、
払えないことも多く、
払え払わないということを繰り返しているうちに、
いつのまにか何年も経過するということになります。
しかし、これらの権利は、
一定の期間が経過すると、
法律上、消滅してしまうという制度があります。
それが、時効という制度です。
権利が消滅する場合を消滅時効と言います。
消滅時効は、仮に、
契約書や領収書があったとしても、
権利や義務が無くなってしまうことを認めるので、
一般の人から考えると、不合理な制度です。
それなのに、
どうして時効の制度が認められているかというと、
一定期間権利を行使せずに放っておいた場合には、
請求される方も
もう請求されないと期待をするので、
その状態で、法律的にも
確定してしまおうということらしいです。
それから、何年も経ってから支払えと言われても、
どうして払わなくなったかや
それまでにいくら払ったなど
請求された側が反論する証拠も
無くなってしまうことから、
請求するなら早くしろということなのです。
一見不合理な制度の時効ですが、
物事をどんどん解決して、
先延ばししないためには、
一定の合理性があるのです。
仮に、みなさんが文句があったとしても
法律として認められていますから、
それを覆すのは難しいです。
お金を貸したり、
物を売ったりして、
なかなか払ってもらえないという場合には、
消滅時効に注意しましょう。
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