第56回
それでも成果主義
前回、前々回に説明したとおり、
成果主義報酬には、いろいろ問題があります。
しかし、日本経済が成熟し、企業が安定して
長期間にわたり成長していくかどうかは
わからない時代となってしまいましたから、
利益への貢献度に応じて
従業員の給料を支払う成果主義報酬を
取り入れて行かざるを得ないと考えます。
ただ、従業員は、
給料を得て生活していかなければなりませんから、
成果主義を取り入れたとしても、
最低限の生活保障は必要となります。
また、他社や他業界よりも、
給料の額を少なくすれば、
よい人材が集まらなくなります。
バブル崩壊後、人の余剰感から、
企業は、人材や人件費の削減に
取り組んできました。
しかし、団塊の世代が引退すると、
人手不足になるということが言われています。
そういう流れからすると、
リストラのために取り入れられた成果主義も、
従業員のモチベーションを高めるための
成果主義に変容されてくるかもしれません。
一般に、年功序列賃金と終身雇用が
日本の雇用制度の特徴だと言われて来ました。
年功序列賃金は、成果主義報酬によって、
変容していくと思います。
一般的に、年功序列賃金が崩壊すると、
終身雇用も崩壊するようなことが言われています。
しかし、年功序列賃金と終身雇用は
必ずリンクする制度ではありません。
労働生産性が落ちた場合には、
給料が下がるけれども、
ずっと雇用を継続するということは
十分可能なのです。
かえって、年功序列賃金の下では、
高齢の従業員が、労働生産性と比較して
給料が高いということとなりますから、
リストラ(整理解雇)の対象とされてきました。
成果主義報酬になれば、
利益に貢献した割合によって
給料が支払われますから、
終身雇用化が可能なのです
従業員の給料の問題は、
変動する経済状況の中で、
従業員の生活保障や世間の労働相場を見て、
会社の売上や利益に対する貢献度を測って、
明確なルールの下に
決めて行かなければならないので、
なかなか難しい問題です。
試行錯誤しながら、
よりよいルールを、
その会社ごとに決めて行くほかないと思います。
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