弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第49回
管理費や修繕積立金が無い

マンションでは、
各マンションの所有者が
将来の大規模修繕のための修繕費を積み立て、
管理費を支払っています。
マンションの規模が大きくなればなるほど、
その金額は大きくなります。

この修繕費や管理費は、
マンションの管理組合の預金として保管されます。
管理組合は、各マンションの所有者全員で
構成されていますから、
マンションを所有していれば
管理組合の構成員となります。

管理組合の預金の名義を
マンションの所有者全員の名義とするのは
不便なことから、
通常は管理組合の理事長名義で作られます。
管理組合を法人とすることもできますが、
費用がかかるためか
法人化しているケースは少ないようです。

ここで、問題となるのは、
理事長が、印鑑と通帳を管理していることから、
この管理組合の預金を自分の借金の返済に
回してしまったりすることがあるということです。
もちろんこの行為は業務上横領という犯罪行為です。

しかし、借金などの返済に追われると
一時的に借りて
後で返せばよいなどと安易に考えて、
他人のお金に手を付けて
返せなくなるというケースはよくあります。

銀行や生保、証券といった
世間的には一流企業の社員でも
顧客から預かったお金に手を付けて
逮捕されたというニュースが後を断ちません。

このことは、銀行や生保、
証券といった会社の遠い問題ではないのです。
みなさんのマンションの管理組合にも
当てはまる問題なのです。

通帳から預金を下ろして、
借金の返済に回しただけでは、
すぐにばれてしまいますから、
マンションに必要な費用として
支出した形を取られます。
例えば、やってもいない
架空の修繕工事代金として
支払われていたりします。

実際に修繕工事を行なった業者から
リベートという形で受け取るケースもあります。

当然、業者に支払う工事代金には、
リベート分が上乗せされているので、
管理組合のお金が
理事長に渡ったのと同じ結果となります。

マンションの管理費や積立金について、
このような行為を行なうのは、
理事長だけではありません。
それについては、次回に説明します。


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2005年3月31日(木)

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