弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第109回
刑事告訴や行政に対する申入れをするときに

弁護士には、
こんなことも依頼できる
ということの続きです。

(2)刑事告訴や行政に対する申入れ
みなさんは、警察や役所は、
国民であるみなさんが相談に行けば
何でもやってくれると思っていないでしょうか?

しかし、実際に、みなさんが、
こういう犯罪者を捕まえて欲しい、
世の中のこういう行為を取り締まって欲しいと、
警察や役所に行った場合に、
警察や役所はなかなか動いてくれません。

それは、警察や役所が
怠慢であるというだけではありません。

警察を例にとると、
日本では、警察が動くということは、
大変なことで、警察が犯罪者として
捕まえた者が後に無罪になったりしたら、
警察は、人権侵害、不当逮捕、
ずさん捜査などの汚名を着せられます。

だから、みなさんが、
これは詐欺だから逮捕してくれと警察に言ったとしても、
詐欺であるかどうかわからないという理由で
取り上げてもらえません。

詐欺や横領・背任など
経済に絡む犯罪は、
民事上の紛争を有利に解決しようとして、
警察を利用しようと考える人もいますから、
警察も、簡単に一方の言うことだけを信用して、
動くことはできないのです。

そこで、どうしても相手の行為を許せず、
犯罪として立件してもらいたいという場合には、
弁護士を立て、みなさんの事案が詐欺罪の要件を満たし、
証拠もあるから捜査をして
処罰して欲しいと刑事告訴をするという方法があります。

弁護士は、刑事弁護だけでなく、
反対に刑事告訴もするのです。
役所に対する申入れも同じです。
役所も法律に基づいてしか取締りを行なえません。

そこで、取り締まって欲しい行為が、
何法の何条に当たり、
証拠もあるので、取り締まって欲しいと、
弁護士を立て、申入れをする方法があります。

法律の要件を満たし、
証拠もあるにもかかわらず、
警察や役所が動かなければ、
それはもう役所の怠慢ということになり
社会的非難を受けることとなりますから、
警察や役所も動かざるを得ません。

警察や役所を動かすために
弁護士を利用するということも
覚えておいてください。


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