弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第97回
判決の分かれ目

裁判を起こし、起こされ、
原告被告がお互いに
主張、立証、反論、反証を繰り返し、証人尋問をし、
お互いの考え方が離れており、
和解もできないとなれば、
いよいよ判決となります。

弁護士は、多くの事件では、
過去の判例や裁判で出された証拠や証言などから、
自分の方が有利なのか、不利なのかわかります。
判決前に勝ち負けがはっきりしている事件もあります。

でも、裁判所が、この点を重視すれば、
こちらが勝つし、違う点を重視すれば、
相手が勝つという難しい事案もあります。

また、自分の方が不利でも、
裁判官がここを取り上げてくれれば、
ひょっとしたら勝てるかもという場合もありますし、
その逆もあります。

そのような事情から、
判決となった場合は、
その結論を聞くまで、結構緊張します。

ぎりぎりの事案では、前日に、
「もう判決はできあがっており、
 結論は決まっているんだろうな。」
と思うこともあります。

民事裁判では、
原告(訴えた方)が勝つ場合は、
「被告は原告に対し金○○円を支払え。」
という判決になります。
即ち、「被告は」で始まります。
これに対し、被告が勝つ場合は
「原告の請求を棄却する」という判決になります。
即ち、「原告の」で始まります。

判決は、最初の一言で、
勝ちか、負けかわかってしまうのです。

ちなみに、刑事裁判では、
被告人が有罪の場合は
「被告人を懲役○年に処す」という判決となり、
被告人が無罪の場合には
「被告人は無罪」という判決となります。

刑事裁判では最初の一言が
「被告人を」と「被告人は」で、
結論が違ってくるのです。


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