弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第84回
訴訟に勝つための作戦集21−尋問前の打ち合わせは必ず

裁判の内容は、
みなさんが弁護士に話したことに基づいて、
弁護士が主張しているので、
みなさんは全部わかっているはずです。

しかし、みなさんは、
普通に仕事もしなければならないし、
日常生活の中で、
裁判を中心に生活しているわけではありません。
しかも、裁判になっているのは、
何年も前のことだったり、
裁判が月に1回なので、
証人尋問は弁護士に説明した後
何か月も後だったりしますから、
忘れてしまうことも多いです。

だから、自分のことであるにもかかわらず、
自分が忘れていて、
弁護士の方が詳しいということもよくあることです。

そこで、証人尋問前には、
必ず、多めに時間を取ってもらい、
証人尋問の打ち合わせをしましょう。

証人尋問の打ち合わせは、
証人尋問の練習のようなものです。
実際に、弁護士が裁判所で聞くことを予定している質問をして、
きちんと答えることができるか確認します。
その際に、弁護士は、
そのような言葉遣いをすると誤解を招くおそれがあるので、
違う言葉で答えるように指導したり、
記憶があいまいなところを証拠などで確認して
思い出してもらったりします。

相手方が、聞いてくることを予想して、
そのような質問をされたら、
どう答えるか準備もします。

巷で言われているような、
演技指導や嘘の証言をするような指導はしません。

普通の弁護士は、
証人尋問のあるときには、
事前に打ち合わせをするのが普通です。

しかし、依頼者から、
一審を依頼していた弁護士に、
証人尋問の打ち合わせをせずに、
いきなり裁判で証言させられて、
よく覚えていないことを証言して、
負けてしまったという相談を受けたことがあります。

その弁護士は、
そもそも裁判の打ち合わせ自体
あまりしていなかったと依頼者が言っており、
その訴訟では重要な点を
全然主張していなかったこともあったので、
どうしてそうなったのか
その弁護士に聞いたことがあります。

その弁護士曰く、
「裁判の打ち合わせはしていた。」
「証人尋問については、
 事前に打ち合わせをしてしまうと、
 証人が作って証言をしてしまうなど
 不自然な証言になってしまうことがあるから
 打ち合わせはしなかった。」
ということでした。

その弁護士が、
本当にそう考えて打ち合わせしなかったのか、
手抜きをしていたのかはわかりませんが、
弁護士の中にはそういう弁護士もいるようです。

普通の人は、
事前に証人尋問の打ち合わせをしないと
きちんと証言するのは難しいと思います。
証人尋問前には、
必ず、弁護士に時間を取ってもらって
打ち合わせをしてください。


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