弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第64回
訴訟に勝つための作戦集17−
弁護士との打ち合わせで気をつけること

弁護士をうまく使うための方法の続きで、
打ち合わせを効率的に行うための方法です。

1.聞かれたことに答える
  当たり前ですが、弁護士との打ち合わせでは
  言いたいことを全部言うのではなく、
  弁護士が知りたいこと、
  つまり弁護士から質問されたことに
  答えるようにしましょう。

  1つの質問に対し、
  いろんなことを言われると
  弁護士も依頼者が何を言いたいのか
  わかりづらくなります。

  自分が裁判に関係があると思っていたのに、
  弁護士から聞かれなかった場合は、
  「後からこういうことがあったのですが、
   関係ありませんか?」と聞いてみたらよいと思います。


2.同じ話を何度も蒸し返さない
  最初に相談に来たときも、
  次に打ち合わせをするときにも、
  同じ話しかしない人がいます。

  先ほどの「聞かれたことに答える」とも関係するのですが、
  別な質問をしても、
  相手への非難や自分のおかれた状況の話など
  同じ話になってしまう人がいます。

  そういうことを誰かに聞いて欲しい
  という気持ちはわかりますが、
  弁護士に同じことを何度も言ったからといって、
  裁判が有利に進むことはありません。

3.弁護士とけんかしても意味がない
  弁護士から、証拠がないこと、
  あるいは法律や判例から、
  こちらの主張を通すのは難しいと言われた場合、
  感情的になって、
  弁護士とけんかをしても意味がありません。

  弁護士に文句を言っても、
  裁判官が証拠がなくても
  こちらに有利に事実認定してくれることにはならないし、
  法律や判例が変わるわけではありません。
  また、弁護士で、依頼者を負けさせたいと思っている弁護士も
  いないと思います。

  お互いに、相手に対し
  不信感や嫌な感情を持ったまま裁判を続けても、
  うまく行くとは思えません。

  弁護士がそう判断する理由をよく聞いて、
  疑問に思えば、それに対し質問し、説明を求め、
  それでもその弁護士の言うことに納得できないのであれば、
  別な弁護士に変えた方がよいと思います。

4.打ち合わせや準備は裁判までに時間的余裕を持つ
  裁判の期日が終わると、
  「次回までにこの点を調べてください。」、
  あるいは
  「次回までにこの点について証拠を用意してください。」
  などと弁護士から言われることがあると思います。

  弁護士は、みなさんから打ち合わせで聞いたこと、
  受け取った証拠に基づいて、書面を作成し、
  裁判所に提出しなければなりません。
  今は、裁判では、期日の1週間前に
  書面を提出するのが普通です。

  弁護士から確認された点の答えや証拠が
  裁判期日の間際になって出てくると、
  弁護士が十分に検討できなかったり、
  疑問に思った点があっても
  書面の提出期限との関係で
  曖昧なまま書面を作成したりしてしまう
  ということになってしまいます。

  依頼している方も裁判だけをしているわけではないので
  忙しいでしょうが、
  弁護士も他の事件との関係も含めて
  予定を立てて準備をしているので、
  それがずれると、時間が割けなくなってしまいます。

  弁護士に時間的余裕を与えて仕事をしてもらうのが、
  弁護士にいい仕事をしてもらう点で重要です。   


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