第57回
訴訟に勝つための作戦集11−訴訟は最初が肝心
訴訟は、訴える方(原告)が
訴状を裁判所に提出して、始まります。
だから、訴訟の開始時点では、
裁判官は、原告の訴状(主張)しか見ていないことになります。
訴状を作成するのは、弁護士ですから、
それらしいことが書いてあり、証拠も付いていれば、
一見して原告の言うとおりなのかなと思えるものです。
裁判官もきっとそう思っていると思います。
したがって、訴えられた場合、
訴えられた方の被告は、早く反論し、
原告の主張は誤っており、
被告の言っていることの方が正しく合理的だと
裁判官に早く認識してもらうことが
裁判を進める上で有利であることは間違いありません。
そこで、第1回に、
きちんと被告の主張や反論を出せれば
それに越したことはありません。
しかし、訴えられてしまった方(被告)は、
普通、訴えられるなんて思っていませんから、
大抵準備もしておらず、
訴えられたことにびっくりしています。
第1回までに、
何とか弁護士を探して反論してもらおうとしますが、
事前に準備をしておらず、
記憶も整理していないため、
弁護士への説明も、はっきりしなかったり、
矛盾していたりする場合が多いです。
それは、普通のことで仕方のないことです。
ただ、ここで注意しなければならないのは、
記憶があいまいだったり、
はっきりしなかったりする場合には、
その旨弁護士にきちんと説明することです。
大体、訴えられると、普通の人は
弁護士に自己の正当性をわかってもらおうとして、
あいまいな事実でも、強調して説明しがちです。
しかし、訴訟が進むにつれて、
それが誤りだったことが判明すると、
他の点についても
こちらの主張の信用がなくなってしまいます。
だから、あいまいで調査が必要なのであれば、
「この点はあいまいなので調査します。」
と正直に弁護士に言った方がいいです。
できれば、第1回目に反論できた方がいいのですが、
第1回期日は、原告の都合で決められますから、
第1回だけは、「調査の上、次回に反論する。」
ということも認められていて、
次回まで待ってもらうことができます。
弁護士は、最初の説明で、
その後の訴訟の作戦を立て、主張を考えます。
裁判官も、最初の被告の主張で、
訴訟のポイントを把握し、
どちらが勝ちそうか判断します。
訴訟は、最初が肝心です。
焦らず、よく事実関係を調査し、
思い出した上で、
弁護士に説明することが必要です。
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