第51回
訴訟に勝つための作戦集7−録音の失敗例
録音は、どのような話をしていたかを証明するには
有効な手段なのですが、
録音されていても、
役に立たないということが多々あります。
録音の失敗例を挙げてみます。
1.録音が不鮮明
録音は、聞き取れないと意味がありません。
ポケットに隠すとか、電話を録音するとかいう場合には、
一度きちんと録音できるか試してから
録音するようにしましょう。
2.こちらばかり話す
「相手が認めているので聞いてください。」と言われて、
テープを聞いてみると、一方的にこちらが話していて、
あるいは捲くし立てていて、
相手がこれに対し「えー。えー」
あるいは「うん。うん。」と言っていました。
一見、話を肯定しているようにも聞こえますが、
文句を言われていたので、
聞いていただけというようにも聞こえます。
普通、相手の話を聞くときに
相手と意見が違っていても、
相手が話しているときには、
「うん。うん。」「はい。はい。」などと言うでしょ。
だから、それくらいでは、決定的な証拠とは言えません。
相手に、そのときにどう言ったのか
具体的に説明してもらうか、
はっきりと「認める」と言わせなければならないのです。
録音を証拠とするには、
相手にしゃべらせるということが重要です。
3.肝心の話が抜けている
一般の方は、法律知識もあまりなく、
紛争のポイントもよくわかっていないので、
交渉の模様を録音する際に、
どういう言葉を相手方から取ればよいのかわかっていません。
だから、こちらが一方的に相手方を攻めたり、
相手方が全然関係ない話をしたり、
と延々と話は続いているのだけれど、
肝心の話について、相手がどう認識しているのか
録音されていないことが多いです。
これを防ぐためには、
トラブルと思ったら、弁護士に相談して、
トラブルのポイントはどこか、
相手方がどういう点を認めたら
有力な証拠となるのかを確認してから
交渉に行くことが必要です。
4.自分に不利なことを認めてしまう
録音では、話したことが全て記録されてしまいますから、
話の流れで、相手に有利なこと、
あるいは自分に不利なことを認めてしまうと、
それも証拠として残ってしまいます。
録音する場合には、この点も要注意です。
以上のように、
録音は証拠としては有効な手段なのですが、
実際やってみるとなかなか難しい点があります。
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