第49回
訴訟に勝つための作戦集5−裁判では積み込みができる
前回、裁判とトランプや麻雀が似ている
というお話をしました。
今日は、裁判の方が
トランプや麻雀より勝ちやすいという話をします。
便宜上マージャンで説明します。
麻雀では、牌が配られるまで、
自分の牌はわかりません。
相手の牌はもちろんわかりません。
もし、予め自分に大きな役ができるように牌を積んでおけば、
必ず勝てます。
これは積み込みという「いかさま」で、
もちろん、反則です。
トランプのポーカーやブラックジャックでも、
予めよい役が来るように仕組むことは許されません。
しかし、裁判の場合、
予め、裁判になったときに勝てるような
自分に有利な手を作っておくことができます。
この典型例が、契約書や念書です。
例えば、事故などで相手に示談金を支払った場合、
支払った方はこれで全部解決と考えて
支払っていたとしましょう。
もらった方も、そのときはそう思っていたけれど、
後からもっと支払ってもらいたいと考えたとします。
このケースで、示談のときに、
何の文書も交わしておかなければ、
示談金で全て解決したのか、
示談金は損害賠償金の一部なのか
訴訟になってしまいます。
ところが、
「示談金の他に請求権がないことを確認する」などと
記載した書面に署名捺印をもらっておけば、
相手が、示談金が損害賠償の一部だから
残金を支払えという訴えを起こしてきたとしても、
示談書という切り札を持っているのですから、
裁判は勝訴の見込みが高いということになります。
麻雀で、積み込みをしたのと同じこととなるわけです。
相手も、負ける見込みの裁判は
弁護士費用をかけてまでやってくることは少ないですから、
訴訟にもならないということにもなります。
裁判には、積み込みが有効なのです。
ただ、後でどういう訴訟になるか予想した上で、
積み込みをしなければならないので、
弁護士への相談は不可欠です。
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