第45回
訴訟に勝つための作戦集2−裁判所を変えることができる
管轄が自分のところかそうでないかで、
費用・労力が変わってきますから、
それだけで実質的な訴訟の勝敗が
決まってしまうことがあります。
例えば、東京の人が北海道の釧路で
100万円を請求する訴訟を起こされたとします。
弁護士の着手金は10万円ですが、
東京の弁護士に釧路に行ってもらうには、
日当と交通費で1回10万円以上かかってしまいます。
弁護士が裁判所に10回行くと、
弁護士に支払うお金が100万円を超えてしまいます。
それなら訴訟で争わずに、
相手に支払った方が
経済的に得だということになります。
このケースでは、
釧路に訴訟を起こされた時点で、
負けのようなものなのです。
そこで、遠方で訴えられた場合に、
何とか裁判を自分のところでできないかを考えるわけです。
法律(民事訴訟法)は、
(1)重要証人あるいは複数の証人がいる場合、
(2)当事者が合意している場合に、
管轄を動かすことを認めています。
これを移送と言います。
(1)は、トラブルは東京で起こったのに、
その後、相手方が大阪に引っ越して
大阪で訴訟を起こしてきたようなケースで問題となります。
このようなケースでは、
トラブルは東京で起こっているので
証人は東京にいるでしょうから、
それを理由に東京に訴訟を移送することを
求めることができます。
(2)は、訴訟を大阪で起こされたけれども、
弁護士同士が東京の弁護士であったようなケースです。
このようなケースでは、
お互いに費用労力をかけて
大阪に行って裁判をすることが無駄なので、
弁護士同士が東京で裁判をする合意をすれば、
東京で裁判をすることができることとなっているのです。
管轄については、契約書で、
「この契約に関するトラブルはどこの裁判所ですることにする」
と書いておくと、
そこの裁判所で裁判をすることができます。
これまで説明したとおり、
自分に有利なところで裁判を行うことは重要なので、
契約を結ぶ際には、
この規定を入れておくことをお勧めします。
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