第40回
弁護士の能力で結果に差が出るか?
弁護士は、誰もが司法試験という
難しい試験に合格していますから、
一定以上の法律知識をもち、
法的な考え方をマスターしています。
したがって、基本的な法律問題を扱う上では、
あまり差がありません。
しかし、現在の司法試験科目は、
憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法の
いわゆる六法だけです。
これに対し、実際の法律問題を解決するには、
破産法や民事再生法、特許法や著作権法、独占禁止法等々
多数の法律の知識を必要とします。
それに、司法試験合格以降に、
法律も変わりますし、
新しい判例もどんどん出されていきます。
また、フランチャイズ契約や
インターネット取引など
新しい法律問題も生まれてきます。
これらの法律知識の習得については、
試験に合格した後は、
それぞれの弁護士の自助努力に任されています。
法律相談を受けた後に、
文献や判例を調査したりすることにより
法律問題に対する考え方を深めることも可能です。
これもまた、どこまでするか
個々の弁護士の判断に任されています。
このように、
日常的に法律知識の習得に努めているかどうかで、
弁護士の基本的能力である法律知識に差が出てきます。
実際の法律相談では、
法律や判例で結論が出ていないケースや
既存のどの理屈を当てはめるのか
分からないケースに当たることもよくあります。
こういうケースでは、
既存の法律や判例の理屈から、
勝ち負けのどちらの可能性があるか、
既存のどの理屈が妥当するかを弁護士が判断します。
このような場合にこそ、
弁護士の思考力・問題解決能力がよく顕れますから、
能力により差が出ます。
その他にも、業界慣習に関する知識や
交渉の方法・訴訟での主張の仕方など、
弁護士の能力によって
事件の解決について差が出てくる部分があります。
実際に、訴訟や交渉をしていると、
この部分を攻められたらまずい、
あるいはこういう理屈で攻められたら弱い
というところが出てきますが、
きちんとそこを付いてくる弁護士と、
そうではない弁護士がいます。
それによって、訴訟の勝敗が変わってきたり、
交渉が有利になったり不利になったりすることもあります。
弁護士の能力によって結果に差が出て来るわけです。
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