第174回
見積書や請求書では裁判上有利な証拠にはなりません。

昨日、法律上、契約が口約束で有効だとしても、
契約書を交わす必要があるという話をしました。
しかし、日本の取引で多いのは、
まず、顧客から電話や面談で買いたいから
見積もりを出して欲しいと言われて見積書を出します。
その金額を基に交渉して口約束で代金を決めて、
商品を納品します。
そして、納品後に請求書を出します。
大体このような手順です。
みなさんの会社はこのような仕組みになっていませんか?

このような仕組みで債権管理を行なっている会社は間違いです。
このような会社が、代金が支払われない、
あるいは代金について相手が違うことを言っている
ということが問題となって弁護士に相談に行ったとしましょう。
弁護士は、「裁判にしますから、
代金を証明する証拠を見せてください。」と言います。

相談者は、「代金の証拠としては見積書や請求書があります。」
と見積書や請求書を見せます。
弁護士は「これじゃ、争われたら証拠になりませんよ。」
というかもしれません。
なぜでしょうか?

見積書や請求書は、
代金を請求する方が作成した文書ですから、
代金の請求する側の言い分が書いてあるに過ぎません。
ところが、昨日も説明したとおり、
裁判で証明しなければならないのは
相手がその代金を認めたということなのです。
だから、見積書や請求書では、
裁判上請求する側に有利な証拠とはならないのです。
即ち、見積書や請求書で債権を管理することは間違いなのです。

では、どうすればいいのでしょうか?
それは、また明日。


■今週の宿題 ■
よく契約で出てくる署名捺印は
自分で書いて印鑑を押すこと、
記名捺印は自分以外が書いて
印鑑を押すことである。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年5月20日(火)

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