第94回
建物賃貸借の仲介手数料は通常借主のみが支払っています。

先週の宿題
事務所を借りるときには、
不動産屋の仲介手数料として
通常賃料1ヶ月分を取られます。
不動産屋は借主からのみ仲介手数料を取っている。
○でしょうか?×でしょうか?

みなさん、どう考えましたか?

「不動産屋さんは、売買の仲介では売主と買主の両方から
3%ずつもらえるので(正確には3%+6万円)、
建物の賃貸の仲介の場合も
片方からだけもらっているはずはない。だから答えは×。」
と考えた人が多かったのではないでしょうか?

でも、建物の賃貸の仲介手数料を借主から
1ヶ月分の賃料相当額をもらっている場合は、
借主のみが仲介手数料を負担しています。
不動産屋さんは貸主からは仲介手数料をもらっていないのです。
だから、答えはです。

不動産屋さんの仲介手数料は、法律で決められています。
これによれば、建物賃貸の仲介手数料は、
合計で1ヶ月分の賃料相当額以内と決まっていて、
法律上の原則は、貸主から2分の1以内、
借主から2分の1以内もらうことができるということになっています。
だから、1ヶ月の賃料が50万円という場合、
法律の原則どおりに考えれば、
仲介手数料は、貸主が25万円、借主が25万円と
半額ずつ負担するはずなのです。

それなのに、どうして借主のみ1ヶ月分の仲介手数料を
まるまる負担するということになっているかというと、
借主が同意すれば、
1か月分全額借主からもらってよいということになっているからです。

不動産屋さんで、事務所や店舗を借りるときに、
契約に必要なお金は、前払賃料1ヶ月分、
権利金2ヶ月分、保証金10か月分、仲介手数料1ヶ月分です。
と言われたら、普通の人は法律では1ヶ月分でなく、
半月分だと規定されているなんて知らないでしょうから
承諾してしまうでしょう。
それに、半月分しか支払わないと言ったら、
仲介はしてもらえないので、
物件を借りることができなくなってしまいます。

この不動産屋の仲介手数料の問題も、
借主の立場が弱くて、貸主の立場が強いという
これまでの貸し手市場が続いてきたことによるのです。
現在ではビルの空室率が増加していて、
契約時にある程度借り手の意見も通る場合もあります。
仲介手数料についても、法律上半月分でいいのではないかと
言ってみたらどうでしょうか?

ちなみに、借主からこの法律の原則どおりの
仲介手数料しかもらっていない不動産屋さんもあるようです。


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2003年1月20日(月)

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