第91回
これからは貸主の支払能力によって
敷金・保証金が返ってこない場合があります。

昨日、これまでの不動産市場は貸し手市場で、
借主が出て行ってもビルの借主はすぐ見つかることから、
貸主が敷金や保証金を使ってしまっていても
戻ってこないということは
あまり考えられなかったという説明をしました。

ところが、今は、不動産は値下がりし、
テナントの入らないビルも多くなってきました。
しかも、次に入る借主は、同じ賃料や、
同じ敷金保証金で入居するとは限りません。
とすると、貸主が敷金・保証金を
前の借主に返還してしまっている場合、
返還するための敷金・保証金を
どこからか調達して返還しなければなりません。

ビルや土地が担保に入っておらず、借入をする余力があれば、
貸主は借入をして返還することになるでしょう。
でも、ビルや土地は既に他の借金の担保に入っている場合には、
借入ができません。
すると、貸主は、敷金・保証金を
返還できないということになります。

貸主が、他の部屋や他のフロアから賃料収入があれば
分割などにより返還見込みがありますが、
他の収入も借金の返済に回されている状態の場合、
なかなか返還の見通しも立ちません。
最悪の場合、貸主が破産して、
敷金・保証金が返還されないということになります。

不良債権処理により、
不動産関係の会社や個人が破産することが
増加することが予想されます。
今後は、敷金・保証金は預けたお金だから
全額戻ってくるとは言えなくなってきます。

これまでは貸主が借主の売上や収入を調査しましたが、
これからは借主の方もこの貸主は、
敷金保証金を返せるのかチェックする必要があるかもしれません。


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2003年1月15日(水)

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