第82回
貸し手責任(レンダーライアビリティ)は
なかなか認められません。

昨日突然出した宿題は
銀行が提携ローンを組んで購入した
ゴルフ会員権やホテルオーナー権について
業者が倒産して
ゴルフ会員権やホテルオーナー権が紙くずになっても、
顧客は銀行にローンを支払い続けなければならない。
○でしょうか?×でしょうか?

という問題でした。

この問題はかなり難しいです。
後で説明しますが、最近法律が変わったし、
個々のケースの具体的な事情によっても
結論が変わるからです。
答えは、理由が合っていれば、×でも、○でも正解です。

それでも、一応の答えを言いますと、です。
理由は、銀行と顧客のローン契約と、
業者と顧客の商品購入契約は別個の契約だから、
業者が倒産して商品の引渡しが受けられなくても、
サービスの提供を受けられなくても
支払いを続けなければならないのが原則です。
いくら銀行を信用して購入しても
銀行ローンの支払いを拒むことはできないのです。

ただし、銀行が倒産することを予想できたのに
商品の勧誘をしたような場合には
ローンは支払わなくても大丈夫です。

このような事例はバブル経済崩壊後たくさんありまして、
ゴルフ会員権やホテルオーナー権を購入した方が
銀行を信用して買ったのに
ゴルフ場やホテル経営会社が倒産したことを理由に、
銀行に対しローンの支払う義務はない
と主張して銀行と裁判で争いました。

しかし、なかなか裁判所は銀行員が勧誘したことや
銀行がお金を貸した当時バブル経済崩壊により
業者が倒産することを予想できたと認定はしてくれず、
裁判のほとんどは銀行が勝っています。

ただ、銀行や保険会社が相続税対策として
変額保険を提携ローンで売ったケースでは、
顧客が勝訴しているケースもあります。
でも、銀行が勝訴しているケースがほとんどです。

このように、提携ローンについては
バブル経済崩壊後たくさん問題が出てきたので、
平成11年に、提携ローンで購入した商品が
業者の倒産によって商品が受け取れなかったり、
サービスを受けられなかったりした場合には、
ローンの支払いを止めることができるように法律が変わりました。
それまでは、割賦販売やクレジット販売では
支払いを止めることができるという規定があったのですが、
提携ローンには支払いを止めることができる
という規定はなかったのです。

銀行はそんなに危ない商品について
提携ローンを組むはずがない
と考えられていたのかもしれません。

ただし、商品の引渡しや
サービスの提供を受けられなくなった場合に
割賦販売や提携ローンの支払いを止めることができるのは
一般の個人の方であって、
会社は支払いを止めることはできません。


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2002年12月19日(木)

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