第75回
保証と物上物証は全く異なります。
これまで説明したとおり保証人は
借りた人が借金を返済できなくなったら、
代わりに返済をしなければならない人のことです。
これに対し、物上保証人は、
借りた人が借金を返済できなかったら、
売却して返済する担保を提供する人のことです。
具体例で説明します。
P銀行からQさんが1億円借りました。
Aさんが保証人になりました。
Qさんが1億円を払えなくなった場合、
P銀行は保証人であるAさんに1億円を請求できます。
そして、Aさんの預金、不動産、株式、給与など
Aさんのすべての財産を1億円の範囲内で、
差し押さえることができます。
前の例でAさんが物上保証人として、
1億円の不動産を担保に差し入れていたとしましょう。
P銀行は、不動産を差し押さえて売却し、
回収することができます。
しかし、不動産が値下がりしていて、
5000万円でしか売れなかったとしても
P銀行はAさんに対し、それ以上請求できません。
保証人になった場合は全財産で返済する必要がありますが、
物上保証人は担保として提供した物の範囲で
返済すればよいのです。
言葉は似ていても大きく違うのでご注意ください。
特に不動産が値下がりしている今の時代では、
物上保証人であれば
単に家が売却されてしまうだけですむのに対し、
保証人になった場合は家を取られ、
その他の財産も取られ、破産するほかなくなることも多いです。
人のために不動産を担保に入れている人は、
物上保証だけなのか、
保証人となっているのか確認しておいた方がよいでしょう。
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