第51回
破産するより再建した方が得だと債権者に納得してもらいます。
前回、会社の再建の基本は、借金の棒引き、
即ち債権額のカットで、
それも債権額の8割から9割だという話をしました。
そんなの支払う側からすれば、ありがたい話だけれども、
支払いを受ける債権者からすれば
そんなの納得しないんじゃないかと思いませんか。
ちなみに、請求する権利を持っている方を債権者、
支払い義務がある側を債務者と言います。
もちろん、すんなり納得してくれる債権者はいません。
再建手続きで今最も利用の多い民事再生手続きでは、
債権者の過半数の賛成と抵当権者の同意を取る必要があります。
これらの債権者を説得するときの殺し文句が
「破産するよりは再建した方がいいでしょ」ということなのです。
破産というのは、現在ある財産を全部売却して、
その代金を債権者に債権額に応じて分配する手続きです。
この分配されるお金を配当と言います。
売却する財産に銀行の担保権が付いていれば、
担保権が優先します。
破産する会社は、価値のある財産はすべて
借入の担保に入れているか、換金してしまっていますから、
普通の債権者には配当はありません。
それを考えると、債権者にとっては、
債権を8割あるいは9割カットしたとしても、
会社が再建すれば、
債権額の1割から2割の返済を受けられるのですから、
再建した方が得なわけです。
そこで、会社の再建手続きでは、
8割9割当たり前という債権カットに応じてもらえるのです。
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