第37回
社長であっても会社の借金を支払う義務はありません。

会社の取締役をしている方からよく、うちの会社危ないんだけど、
会社が倒産した場合、役員である自分が会社の借金を
支払わなければならないかという相談を受けます。

会社と言えば、普通は株式会社と有限会社です。
株式会社と有限会社では、会社の借金は
会社の財産で支払うことになります。
だから、法律上は、役員である取締役には
会社の借金を役員個人の財産から返済する義務はありません。
法律上は、代表取締役である社長であっても、
社長個人の財産から会社の借金を返済する義務はないのです。

社長個人が、会社が苦しいときに会社に代わって
会社の借金を返済することがありますが、これは返済しなければ
会社が継続して経営を続けられなくなる、とか、
社長が行った借入で他人に迷惑はかけられないという
社長個人の道徳観など事実上の理由から返済されるのであって、
法律上は、返済義務はないのです。

要するに、義務がなくても社長個人が自分の財産の中から
返済しているだけなのです。
社長が、会社は会社、個人は個人だから会社の借金は個人に
関係ないと言えば、それ以上、
貸主が社長個人に会社の借金の返済を求めることは
できなくなるわけです。

そこで、銀行などの金融機関は会社の借金について、
社長個人の保証を取るわけです。
中小企業の場合には、会社の借入には、
まず間違いなく社長の個人保証を取られます。
この場合、社長は、社長だから会社の借金を返済する義務が
あるのではなくて、保証をしたから借金の返済義務があるのです。


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2002年10月17日(木)

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