第108回
最強メニューが完成 その3
30日前 開店に間に合ったドイツのチョコレートクロワッサン

松井さんがカフェを開業しようと
いろいろな店を見て歩いていた時、
香りの良い焼き立てパンを売るカフェに出会った事が
本当の始まりでした。

そのパンを輸入していた会社が
アナナスジャパンで社長は村田明美さん
名前は明美さんで女性のように思われますが男性です。
村田さんは若い頃、電器の小売業をやっていましたが、
義母の店をカフェにした事がきっかけで
パンの輸入に手を拡げた方です。

原宿の義母の店は
何とドトールコーヒーショップの1号店でした。
本来フランチャイズチェーンの1号店と云えば
それを主催する本部がまず直営店を出店し、
繁盛するノウハウを蓄積してから
多店化に進むのが常識ですが、
村田さんはドトールコーヒーの考え方に共鳴し
自ら1号店の従業員(店長)として
奥様と2人でお店に入ったのです。

勿論ドトールコーヒー側も社員3名を店に常駐させ
文字通り1つ1つ「標準化」と
「手順化(マニュアル化)」を進めていきました。
ドトールコーヒーの鳥羽社長は今も
村田さんの協力と勇気をたたえています。

村田さんの輸入しているドイツのクレンメ社のパンは
クロワッサンだけで1日30万個を製造できる
一貫した清潔な工場(粉1つ落ちていない)を持ち、
現在3つの工場が稼動しており、
更に4つ目の工場建設も計画しています。
その工場が製造するクロワッサンの売れ筋は
ドイツの高級なビターチョコレートが入ったクロワッサンです。

このチョコレートクロワッサンを
松井さんの店に導入する計画を建てましたが
日本に輸入するまでに時間がかかるため、
開店にギリギリ間に合うかどうかの瀬戸際で、
大きな問題になりました。
しかし村田さんはその翌日の朝、
ドイツへ文字通り飛んでいきました。
先方と膝詰めの交渉で1週間早く
日本向けの商品を製造する事に成功しました。

村田さんは松井さんのために
まるで朝、東京から新幹線に乗って
大阪で商談するがごとく、
ドイツに飛んでくれたのです。


『信義はどんな厚い契約書と法律より重く大きい
人の言葉と書いて信じると云う』


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