第68回
ストアコンセプトの実際 その13
100日前 ターゲットが明確でない店はつづかない
沼子さんからも
松井さんのカフェ出店の考え方は良いと最後に云われ、
ますます意気上る松井さんと斎藤さんは
いよいよ最后の出店企画書を作る事になりました。
芝さんからもらった3枚のA4版の小さな企画書に、
簡潔で明確な言葉で書き入れなければなりません。
なぜ芝さんは3枚の紙で良いと云ったのか。
コンセプトは枝と葉ではなく根と幹
すなわち概念と云う意味から来ているからでした。
その3枚とは
(1)この形態が必要とされる背景と理由
(2)コンセプトシート
(3)商品の基本的な考え方
でした。
松井さんはまずコンセプトシートの真ん中に
「昼ベーカリーを併設したセルフサービスカフェ
夜ゆっくりくつろげる
フルサービスのオーセンティックカフェ」
と書き入れました。
この50日間あらゆる店を見、研究し、
専門家の意見を聞いた上での結論でした。
思いつきでない出口の見えた「発想」に
強固に固まっていたのです。
どんな人がどの様な来客動機で
どの様なサービスや店内環境を求めているか。
これらのwants(要求)に対して、
どの様な商品戦略と価格政策で応えるかが
ストアコンセプトなのです。
ただ店がキレイなだけの店や、
メニューレパートリー的な特徴も特性もない商品の店は
一時の繁栄があっても長続きするものではありません。
ターゲットは
「いままでのカフェに満足しない、
賢くて忙しいビジネスマン、OL、恵比寿に住む人々」を
コアターゲットにしました。
松井さんの考えには
「サラリーマンでなくビジネスマン、
自分だけを大切にする利己主義の人でなく、
人を大切にする賢しい個人主義」の人に
喜んでもらう店を創りたかったからです。
『賢くて生活の価値観をしっかり持っている個人主義が市場を創る』
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