第57回
ストアコンセプトの実際 その2
118日前 前例のない二毛作型を決める

一晩考えた松井さん。
斎藤さんが提案した
夜はアルコールが主役のプロントチェーンを
改めて見に行きました。
サントリーとUCCコーヒーが始めた二毛作型の店は
16年前画期的な業態と外食産業から注目を浴びました。
現在でも100店以上チェーンで大変繁盛しています。

松井さんはプロントのカウンターにすわり
水割りを飲んでじっと店の運営を見ていました。
小粋と云うコンセプトで創られた店は
都市に働く人達にとって居酒屋とは違う
エンターテイメントがあって、魅力を感じました。

しかし松井さんはこう考えました。
確かに今回の店にはこうした業態は合っていると思う。
斎藤君は良い所にさすがに着眼した。
しかしこれを上手に運営するにはプロの指導が必要だ。
自分達が1号店でやるには高度すぎる。
しかし夜までセルフサービスカフェを
あの立地が求めているかどうかは再検討する必要がある。

松井さんは斎藤さんと翌日再び会議を行いました。
夜をパブ化するのは技術的にも無理と話した所、
以外にも斎藤さんはこう云ったのです。
「おっしゃる通りです。
実は私はかつての大学時代の学友で
女性を中心に夜どんな店が欲しいと聞いたのです。
当然アルコール関係の店が一番と思ったのですが、
以外にも同数でカフェ、
しかもフルサービスの店でゆっくり出来る店が良い
と云う答えだったのです。
夜はフルサービスのオーセンティックカフェの方が
運営しやすく、利用動機も拡がります」

松井さんニッコリ笑って
「私も同じ事を考えていた。
夜だって明日への心のエネルギーは売れるよな」
出店を決めて32日目、店のコンセプトは固まりました。


『10名中5名、50%の支持は1万人中5千人の支持と同じ。
比例で伸ばしてもその真理は変らない』


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