第46回
タイムリミット150日の記録 その1
150日前 理念の構築から始まる
第一部はカフェビジネスの魅力と現実を客観的に見てきました。
第二部はいよいよカフェづくりの実際です。
あるカフェの開店から多店化への軌跡を追って見たいと思います。
松井さんは旅行代理店に勤める36才。
大学ではスキー、ダイビングのクラブで活躍した
スポーツ大好き青年でした。
趣味を仕事にすると云うのは大変ですが、
好きな事が仕事になるならこれは「天職」となります。
松井さんは人が大好き、人が喜ぶのはもっと大好きな人ですから、
旅行代理店に入って多くのお客様の不と無を取り除き、
満足してもらう今の仕事に何の不満もありませんでした。
仕事を通じて知り合って結ばれた奥様も旅行が大好きで
仲の良い家庭の見本と云っても良いうらやむ人生でした。
しかし運命は思い通りのキャンバスに
絵を画かせてくれない事になってしまいます。
松井さんが会社をやめなければならなくなってしまったのです。
父親が経営する不動産事業を引き継ぐ事になってしまいました。
20名の若い社員とその家族の事を考えると
松井さんは自分の事だけ考えれば良い
と云う訳にはいかない「性格」を持っていたからです。
父親が経営する会社は幸いにも自社ビルで
1階は物件紹介のカウンターで2階が事務所です。
広さは1、2階とも50坪、東京の恵比寿の駅の近くで
人通りもかなり多い立地です。
新しい仕事について30日、松井さん、
あまりに1階のカウンターにくるお客様が少ない事に
愕然としました。そしてひらめきました。
1階はカフェがいい、
こうして松井さんのカフェづくりが始まりました。
『物事を始めるには核が必要であるその核を理念と云う』
|