第86回
カネカネカネのケーエイ学18:正解はなに?
島田紳助の「行列のできる法律相談所」がとても面白い。
この番組の画期的なところは、「専門家の意見が分かれる」ということにつきる。それまでのテレビでは、専門家の意見は「正解」として一つしか示されず、結論が分かれることはなかった。専門家といっても、程度の違いもあれば、考え方の違いもあるという現実を「行列」は教えてくれた。
では、どの専門家を頼ればいいのか。どのようにして、自分に合った専門家を見つけることができるか?
弁護士に頼みたい案件など、普通は人生に1度あるかないか、命にもかかわるよほどの一大事なはずだが、残念ながら現在は情報がない。どうでもいい商品情報があふれている一方で、弁護士も医者とか建築家とか、重要なことほど、専門家を選ぶための情報がない。このあたり、みな気づいていることと思うが、新しいビジネスが出てこないのはどうしたわけだろうか?
専門家を選ぶという発想がまずないのは、たぶん「正解はひとつ」という思いこみと関係があると思う。ほんとうは、解決方法はさまざまだ。
最近は、医者については「セカンドオピニオン」という考え方がでてきたが、実際に「セカンドオピニオン」を求めるのは、かなり勇気がいることだそうだ。
広告の仕事をしていると、著作権の問題にときどきぶつかる。
この点ではクライアントの意識もかなり高まってきた。しかしクライアントを納得させられるだけ、広告の営業マンも制作者も、よく説明できていないのが実情だ。
勉強してみると「正解はなにか」と聞かれても「考え方が分かれる」と答えざるを得ないこともある。法律にはっきりと書いてないことが多いが、判例だって統一されているわけでもなく、じっさいは個別の事情による部分が大きくて、一般化できるものかどうか、本当はわからない。とすれば、正解はなにかと考えるよりも、「自分はどう考えるか」という主体性の問題かもしれない。
しかし、そうであれば萎縮的な判断をとらざるを得ない。そういうことがよくある。
ビジネスの観点からみると、裁判で勝てるかどうかは問題ではなく、トラブルを呼ぶ可能性があれば、すなわち負けだ、と普通は考えるのである。
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