第38回
問題なのは利率
会社が社長からお金を借りた場合に問題となるのは、
いったい借入利率をいくらにするのか、という点である。
貸借の利率なんてお互いがよければいいのでは?
と思われるかも知れないが、
それはなんの利害関係もない第三者間同士での話で、
会社と社長という場合にはそうはいかない。
ここにシバリがないと、
社長は会社にお金を貸して高利で運用するだろうし、
会社はその分を利息として計上できるため、
社長と会社双方にメリットが生じてしまうからだ。
よってこれを防止するため、
前年の11月末日の公定歩合プラス4%、
現在では、4.1%の利率が上限として決められている。
会社がこれより高利で借りた場合には、
この上限を超える部分が
社長に対する賞与として会社経費にされないばかりか、
その分の源泉税までを支払わなければならなくなる。
一方、これより低利で借りた場合には、
税務上何も問題にされるところはない。
というのもこれは、
会社はもうけることを目的として行動しているのに対し、
個人はそうではない、ということで説明される。
つまり、
会社が上限利率よりも低利で借りるということは、
純粋に会社がもうかることであるため、
会社の行動目的から考えて、それは依存のないところだし、
個人についても、
たとえもらえる利息が少ないものであっても、
本人がそれでいいと云うのであれば
第三者が口を出す問題ではなくなる、ということなのである。
よって、上限利率以下であれば、
ぜんぜん利息をとらなくても、
会社は会社の理論、個人は個人の理論で
正しく行動していると考えられるため、
税務上、問題とされないということなのだ。
ただ、このように上限利率が設定されていても、
たとえば役員がマチキンから借りてきて
それを会社に貸付けるような「ひもつき」の場合には、
会社はその利率で経費計上できることとされている。
・・・また明日。
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