第160回
社員旅行も様変わり
プロ野球のチームが海外への優勝旅行を企画したところ、
選手があまり集まらなかったということです。
「家族と過ごしたい」、「自主トレーニングに励みたい」
といった理由で、若手を中心に断る選手が続出したそうです。
優勝旅行を企画したのは監督や球団の幹部たちですから、
年齢でいえば50歳代とか60歳代、若くても40歳代でしょう。
一方、現役のプロ野球選手は20歳代から30歳代、
20歳以下の選手だっているわけです。
貴重なオフの時間は自分の好きなように使いたい、
そう考えるのは当たり前ではないでしょうか。
思い出します。2年間のサラリーマン生活を。
私の世代はマスコミなどから、
「新人類」などという名前を付けられました。
ちょうどバブルの頃に就職した世代のわけですが、
一言でいえば、「会社よりプライベートが大切だと考える、
新しい日本の若者」というわけです。
確かに、私は上司からのゴルフの誘いも断りましたし、
宴会で二次会に誘われても帰っていました。
会社は会社、プライベートはプライベート。
きっちり分けて何が悪いのか、と思っていました。
もちろん、同期の中にも、ゴルフでも、
二次会でも三次会でも付き合う人はいました。
要するに、「すべては個人の意思による」というわけです。
社員旅行も、行こうが行くまいが、自由だという考えでした。
しかし、当時はまだ、高度経済成長時代の、
「会社と社員は一心同体」といった風潮が残っていましたから、
私は周囲からいろいろと言われていたようです。
結局は、2年足らずで
脱サラ(懐かしい言葉ですね)してしまったわけですから、
私個人がサラリーマン社会に
馴染めなかったのかもしれませんが。
ですが、その若手のプロ野球選手のように、
個人の自由が普通に通るようになったのを見ると、
やはり時代は変わったようです。
プロ野球選手にとっての球団は、
サラリーマンにとっての会社のようなものでしょうから。
転職は当たり前になりましたし、
契約社員や派遣社員を増やす企業もある。
そうなると、社員旅行自体が成立しなくなる面もある。
しかも、旅費を積み立てて海外へ出かけるともなると、
不景気な昨今、辞退する社員が続出しないとも限らない。
社員旅行を無くすのは伝統に反するという会社も、
近場に1泊、あるいは宴会の後は自由行動、
そういった旅行が時代に合っているのではないでしょうか。
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