中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4425回
工夫のあとが見える経営ができますか

私は常々、レストラン・ビジネスはビジネスの中でも
一番難しいビジネスの1つだと言っています。
その理由は同じことをやっていたら、
お客にあきられてしまうからです。

どんなにおいしい料理を出しても、
同じことをやっているとお客はあきてしまいます。
ですから腕のいい料理人でも、
しょっちゅう工夫をして、
少くとも三ヶ月に一ぺんはやることを変えて
新しい料理を出す必要があります。
その国を代表するような名手なら、
三ヶ月に一ぺん来て同じ味を味わって
満足してくれる人もあるでしょうが、
三日に一ぺん来るお客を狙っているなら、
しばらく来なかったお客が同じメニューを注文したら、
以前とは違った新しい工夫があることを
お客に知ってもらう必要があります。

「なあんだ、この店は?いつも同じことのくりかえしじゃないか」
と言うことになると、
お客は別の店に行くか、
新規開業の店に行くことになります。
料理に色々と工夫の余地があれば、
そうした改善も可能ですが、
焼肉屋とか、ファミリー・レストランとかになると、
なかなか思うように行きません。
ましてや何百軒というチェーン店になると、
トップがそういう考え方でも、
一軒一軒の店長がその狙いを現場で実行に移してくれませんから、
同じことのくりかえしになってしまいます。
ですからチェーン店になったレストランは
やがてお客に飽きられて、
店じまいをするか、
身売りということになってしまうのです。

というわけで私は総元締めをやっているトップに
「行く度にこの店の経営者は工夫しているなとわかるような
メニューとサービスを考えなさい。
さもないとすぐお客にあきられてしまうよ」
とアドバイスしています。
そういうことが実行に移せるためには
100軒も店をつくるわけには行きません。
同じ店が100軒ではありません。
違う業態の店で、あれこれ工夫をして、
まあ、あわせて10軒くらいが限界ではないでしょうか。
ヘッドの狙いが従業員の一人一人に徹底するためにも。





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2012年4月21日(土)

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