中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4400回
養牛でも養豚でも日本人は飯が食えます

少し前までは日本の豚肉の値段は中国の6倍でした。
最近は中国でも値上がりをして3倍まで縮まりましたが、
諸外国に比べて日本はまだまだ高いので、
デンマークや台湾からの輸入が続いています。

ですから養豚は
日本の事業でないという先入観が私にはありましたが、
必要があって日本の養豚場を見学に行ったところ、
何と2000頭の豚をたった3人で飼っている現場を見せつけられて
とてもびっくりしました。

養豚といえば、口蹄疫を怖れて
人を近づけさせないのが常識になっていますが、
豚小屋は掃除も大へんなら、
飼料をあたえるのも大へんな仕事ですから、
人の嫌がる業種の1つに数えられています。
従って工業でお金の稼げる日本人は自分たちで供給するよりも
輸入で賄っているんだと私はずっと思っていました。

ところが、そういうハンディを
すべて解決する試みをする日本人があって、
飼料もすべてオートメで供給すれば、
糞尿も自動的に水洗いができて、
一棟の豚小屋に豚が2000頭もいて、
その面倒を見ている3人の女性には
土曜と日曜の休みがあるときいて、
これなら人手不足の職場でも、
働く人に困らないですむことがわかりました。

もちろん、そのためには飼料の配合も
自分たちで手がけなければならないし、
種豚の供給から親豚の長寿化まで気を配らなければなりません。
でも日本には種豚の供給センターもあれば、
家族会社で年に2万頭の豚を提供できる企業もあるのです。
豚肉の輸入でいつも脱税がニュースになる日本で、
ヨーロッパにもないようなバークシャーやヨークシャーの原種が
飼育されているのですから、
日本人の飯の種は自動車やオートバイだけではないのです。

じゃ日本人の長所は何だということになると、
一口に「合理化」と言えるんじゃないでしょうか。
自動車で飯が食えなくなっても、
牛肉や豚肉を海外に行って生産すれば、
生きる道はまだまだ残っているのです。


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2012年3月27日(火)

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