第4394回
過ぎ去った日本の30年を参考に
中国も日本と同じように、輸出産業の隆盛によって
国内が自国紙幣の大洪水に見舞われていますから、
バブルの発生を免れることは先ず難しいでしょう。
でも中国は日本で起ったことを見ていますし、
何とか同じピンチは避けたいと考えていますから、
異常に神経質になって、あれこれ対策を考えています。
先ず第一に銀行が貸しつけている資金が
不良債権化したら大へんですから、
何とかそれを食い止める方法はないものかと考えます。
私がローンの返済を
一時的に停止するのではないかと申し上げたのは、
少くともその間は競売の対象にならないですみますから、
アウトにはならないですみます。
中国の場合は日本と違ってまだ人手不足がはじまったばかりで、
今後も年々賃上げが続くし、
所得が増大する方向にありますから、
不動産の大暴落を食い止めることができたら、
日本のように地獄の底に落ち込むようなことにならないですむ
可能性が残されています。
もう一つ、日本では国内需要を充たすことからスタートして、
さして修理をしないですむメイド・イン・ジャパンを輸出して
世界中から好評を受けましたが、
中国は世界中の資金と技術を受け入れて
「世界の工場」からスタートしたので、
国内需要は後廻しになって今日に至っています。
それが人手不足によって
やっと国内消費に番がまわってきたところですから、
国内需要の増大によってバブルによるピンチを
或る程度カバーのできる位置におかれています。
この違いを中国当局がうまく利用できたら
日本やアメリカのような目にあわされないですむかも知れません。
仮にそうだとしても
成長のスピードが低下することは避けられないし、
産業界の選手交替も免れないと考えていいでしょう。
過ぎ去った日本の30年の歩みが
中国の次の30年を占う上で
大きな参考になると見て間違いないのではないでしょうか。 |