| 第4360回ヨーロッパで奇跡は起りません
 お金の使いすぎで立往生してしまったヨーロッパ先進国にできることは、
 結局、借りたお金の返済金額を値切ることと、
 増税をすることしか考えられません。
 値切り倒しは借りたお金の半分に決まりかけたのを、「いや、もう少し負からんか」という虫のいい交渉ですが、
 ヨーロッパの場合、貸主とは主として銀行ですから、
 銀行が大損することになります。
 銀行の中には投資のために民間からお金を集めた投資銀行もあれば、
 一般の預金者から預ったお金を国債に投資して
 利ザヤを稼いでいる普通の銀行もあります。
 どちらにせよ、産業界の面倒を見ず、利ザヤ稼ぎだけで居眠りを続けてきた銀行は
 投資したお金が回収できなくなれば、
 投資家や預金者のお金を返えせなくなります。
 驚いた投資家や預金者が一せいに解約にまわれば、
 銀行が倒産することは目に見えています。
 ですからずいぶん前から「銀行株を買ってはいけない」と私は言い続けてきましたが、
 銀行にお金を預けていることだって、本当は心配になります。
 と言って銀行から引き出して
 セーフティ・ボックスの中に入れておくわけにも行かないので
 株式投資と同じように、一行だけでなく、
 複数の銀行に分散した方が安心だということになります。
 ヨーロッパの場合、借金の返済額を値切り倒すだけでなく、フランスやイタリアまでドイツの真似をして
 消費税の増税に踏み切っています。
 そうすることによって民間の消費を抑え込み、
 政府の収入をふやすことになりますから、景気の恢復どころか、
 ユーロを更に一段と切り下げる方向に動いていることになります。
 日本や中国などヨーロッパ向けの輸出をやっている国々は
 今年以後も一段と採算割れになることは先ず避けられません。
 その上、日本も消費税を値上げする方向に動けば、景気は更に一段と落ち込むことを覚悟する必要があります。
 その覚悟、できましたか。
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