中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4300回
次の新現象は世界的な資源の開発

20年間に2兆ドル台も外貨を貯め込んだ中国で新しく起ったことは
過剰流動性によるインフレと不動産の大暴騰です。
それに対して中国政府は金融引締めと
食糧業者に対する難癖で対応していますが、
ご承知のように
いよいよバブルがはじける寸前に立ち至っています。

バブルがはじけることは恐らく避けられないでしょうが、
環境も日本とかなり違うし、
政府の権限にも雲泥の差がありますので、
日本と全く同じ動きで収拾することはないでしょう。
日本がトップを切った時と今は環境も違うし、
中国人と日本人では
環境に対する対処の仕方にも大きなひらきがあるからです。

たとえば日本が世界を相手に外貨を稼いだ時は
対象がアメリカやヨーロッパの先進国に限られていました。
ですからスケールも小さかったし、
資源を確保する必要もありませんでした。
石油でも鉄鉱石でも羊毛や綿花でも金さえ出せば、
いくらでも手に入ったのです。

ところが今は先進国だけでなく、
新興国が相手です。
中国がその代表格ですから消費のスケールがまるで違うし、
資源や原料の確保だけでも容易なことではありません。
ですから鉄鉱石でもボーキサイトでも、
また石油や天然ガスでも
工業生産に必要な資源の確保が先ず問題になります。
そのスタートの時点から原料の確保が問題になりますので、
中国では工業生産がはじまると同時に、
中国人は世界中の資源に目をつけるようになりました。

そのおかげで、
今、世界中の資源国に大ブームが捲き起っています。
オーストラリアのドルが
アメリカのドル並みのレベルに上昇したのも
そのせいだし、
オーストラリアで
不動産ブームが捲き起っているのもそのせいです。
すると、新興国の各地で消費の洪水になりますから、
資源に対する需要はますます大型化します。
中国がもたらした新しい現象とは
一口で言えば資源の大開発です。
それがもたらす新しい変化が
これからの10年に世界で起る新現象だと私は見ています。


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2011年12月18日(日)

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