第4266回
世界的な株価の恢復にはかなりの時間が
いま産業界で一番波打際に近い所に立たされているのは
お金でお金を儲けるビジネスです。
物をつくって売るビジネスではありません。
物を売る商売は物が売れなくても物が残っていますから、
丸損はしません。
ところが、お金を貸す商売とか、お金でお金を儲ける商売は
元手になっているお金を返してもらえなくなれば、
物も子もなくなってしまいます。
ギリシャの政府が国債の元利合計が払えなくなったら、
銀行は預金者にお金が払えなくなって破産してしまいます。
それを避けるために、銀行が返済金の値引きに応じたり、
銀行が他の銀行から融資を受けるのを
ユーロの加盟国が保証すれば、
当座の不渡りを免れることができますが、
問題の解決が先に延びただけで、
問題が解決されたわけではありません。
仮りに先に延びたとしても、
同じ問題を抱えた別の政府が次々にピンチを迎えるし、
先延ばしした国で、国全体が勤倹貯蓄に改まらない限り
国家破産が連鎖発生します。
またお金でお金を儲けるビジネスは
何も国を相手の舞台だけでなく、
不動産や株や企業の買占めにも起りますから、
異常な金あまりと投機資金の膨張が続く限り、
必らずどこかで行き詰って
リーマン・ショックと同じことをくりかえすことになります。
またアメリカによってもたらされるドルの洪水が
これだけ世界に溢れ、国際貿易の決済に必要な資金の
何百倍もの資金が為替レートを左右するようになると、
どこの国の中央銀行の総裁も、
金融政策を有効に動かすことができなくなります。
いずれ為替制度の抜本的な改善ができなければ、
国際間の決済もままならぬ時が必らずきます。
いまはまさにそうした改善を必要とする嵐の中に
まき込まれていると見ていいのではないでしょうか。
そういう意味では嵐は長期化して、
世界的な株価の全面的な恢復には
皆さんが期待するよりかなり時間がかかるのではないでしょうか。
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