中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4228回
かつてない効率の悪いナンピンですが

ナンピンは株をやる人にとっては高等技術にランクされます。
どんな株をどんな値段で買うかも、もちろん、大切なことですが、
どんなことがきっかけになるかは人によって違うでしょう。
証券会社の人に教えられて買う人もあれば、
会社の先輩に手引きされる人もあれば、
新聞や雑誌の情報からヒントを得る人もあります。
そのどれが正しくて、どれが間違っているかは
何回も経験や失敗をくりかえさないとわかりませんが、
ナンピンは既に半炊きになったご飯のようなものですから、
元の米に戻せと言うわけには行きません。

それに対してナンピンは一ぺん炊きあがったご飯に
いちゃもんがついているのですから
自分で手直しをするよりほかないのです。
どの釜の飯から手をつけるか自分で決めなければなりませんが、
どんな火加減でどのくらい手心を加えるかも、
人にきいてやれることではないのです。

誰でも考えることは自分の買値から一番値下がりしている株です。
次は自分の買値とは無関係に、
現時点から一番値上がりしそうな株です。
そして、三番目はいつどの時点で、
どんな値段でナンピンをかけるかということになります。
実はどれも難しくて、何回同じ目に合わされても、
「してやったり」と拍手喝采したくなるような合格点をとれる人は
いないのではないでしょうか。

たとえば、今回の下げはあッという間に終るのか、
それとも動きの悪い台風みたいに
いつまでも同じところにとどまっているのか、
正確な判断のできる人は先ずいないのではないでしょうか。
アメリカのドルの問題だけではないし、
ユーロだって加盟国のどこにまで金融不安の問題が拡大するのか、
正確に言い当てられる予言者は
国際金融のプロの中にも一人もいないのではないでしょうか。
とすると、ナンピンをかけると言っても、
タイミングよく焚きあがるどころか、
これまでになく効率の悪いナンピンしか
期待できないのではないでしょうか。


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2011年10月7日(金)

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