中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4191回
すぐ真似されることを覚悟の上で

中国人はコピーの天才です。
世界中の有名ブランドのコピー商品が
中国じゅうに溢れているのを見てもわかります。
私がイタリアに行った時に買ったグッチのベルトを
こちらのスタッフにプレゼントしたら、
それをつけているのを見た私の日本人の友人に、
「君の偽物本当によくできているね」と褒められて
大笑いになったことがあります。

有名ブランドだけでなく、
商売だって誰かが新しい商売をはじめて大当りをしたら、
たちまち同じような店が周囲を埋めます。
前にも述べたことがありますが、
10何年前に成都にイトーヨーカ堂を建てた時、
その5階に「肉のハナマサ」におそわって、
50元で食べ放題の焼肉屋をひらいたことがあります。

まだ中国に食べ放題の店がなかったので、
オープンと同時に押すな押すなで超満員になりました。
ところが、しばらくするとだんだんお客が減って
ガラガラになってしまいました。
どうしてかと思って調べて見たら、
周囲に似たような店が10軒もできて
お客をごっそりとられてしまったのです。
仕方がないので、こちらも40元に値下げをしたら
少しはお客が戻ってきましたが、
利益は差額の10元の中にありましたので
結局は店じまいをしてしまいました。

こんな経験を身を以ってしているので、
どんないいアイディアでスタートしても、
ハヤれば忽ち真似されることを予め覚悟しなければなりません。
もしくはそう簡単に真似されないか、
全く真似のできない強力な兵器がないと、
やって行けないことになります。
中国で新しい仕事をはじめる場合は
予めそういう目にあわされてもちゃんと生き残って行けるだけの
知恵と対策が必要だということです。

ですからご自分が日本にいた時に身につけた
技術や腕前だけでお客をつくれると思ったら、
「あてとふんどし」は向からはずれてしまいます。
真似されてもそれをはねとばすだけの腕と気力が
絶対に必要だということです。


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2011年8月31日(水)

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