中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4188回
なぜ日本人の店びらきにトラブルが多いか

最近、日本の中小企業の中国進出が目立つようになりました。
北京や上海はもとよりのこと、
地方の省都のようなところに行っても、
日本人のやっている日本料理屋や焼肉屋や
ラーメン屋が目につくようになりました。
吉野家やサイゼリアのような
日本でも有名なレストランなら店づくりに慣れていて、
トラブルは比較的少くてすんでいるでしょうが、
個人が僅かな資本を持ってはじめて中国に行くと
思いも寄らないトラブルにまきこまれてさんざんな目にあいます。

ですから
「あそこに新しい店ができたようだから、覗いて見ようか」
と言って友達を誘って尋ねて行くと、
もう店が閉まっているというのが珍しくありません。
どんな理由によるかは店によって違うでしょうが、
そのほとんどが日本人の常識では考えられないことばかりです。

旅行に来た時に案内してくれたガイドさんと懇意になって
その人を頼りに店づくりをしたとか、
同業の先輩に教えられて店を借り、
まだ営業許可ももらっていないのに
早くも店づくりにかかったとか、
家主との契約条件が当初とまるで違ってしまったとか、
現地の従業員がこちらの思う通りに動いてくれないとか、
人によって勝手は違いますが、トラブルはどっと押し寄せてきます。

その昔、これは台湾で実際に起ったことですが、
私がビルを建てて八百伴に百貨店をひらいてもらったところ、
最新設備の食品売場の検査に来た役人にいきなり
「不合格」と烙印を押されてしまいました。
きいて見たら、紅包を渡す習慣があるのに、
八百伴の日本人の経理はそれを知らなかったのです。
オープニングに間に合わないので、大あわてにあわてて、
うちのスタッフがあとの埋め合わせをしましたが、
大陸は台湾より更に20年や30年遅れていると考えて
間違いないでしょう。

折角、店をひらいても、
トラブルは顧客の方からだけ来ると思ったら大間違いで、
味方になってくれる人以外は
全部敵だと思ったら間違いありません。


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2011年8月28日(日)

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