中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4173回
次は日本企業に対するM&Aも

円高を放任しておくと、
1ドル80円割れが恒常化するだけでなく、
これからアメリカはもっとおかしくなるだろうし、
それにユーロの加盟国が次々と問題を起して、
金融危機が全世界を覆う可能性がないとは言えませんので、
更に円高が進むことも考えられます。
本当は円にも問題が多いのですが、
よその国から見ると産業の発達した分だけ
日本は「豊かな国」に見えるので、
その度に円が買われる可能性は大きいのです。

そうなると、生き残りを図る日本の企業は
いよいよ日本国内に戻られなくなり、
もっとコストが安くてすむ国か、
現地で商売の成り立つ国に大移動することが考えられます。
その一方で、日本国内で不要になる工場設備も
ふえることになりますから、設備そのものを海外に大移動するか、
それとも第三者に譲渡することになります。

最近、パナソニックが三洋の白物家電の工場を
中国のハイアールに譲渡するニュースが新聞を賑わしましたが、
これも起るべくして起る次の経済現象の1つであります。
というのは中国の家電メーカーも、
もとを言えば、日本に見習った物であり、
短い間に大へんな勢いで成長しましたが、
中国はもともと「外来文化の卸売りセンター」ですから、
皆が豊かになればなるほど
先進国の製品にあこがれる傾向があります。
ですから、中国人が中国でつくった物より、
外国から輸入した自国内では手に入らないものの方が
消費者の人気を呼ぶのです。

既にレナウンが先鞭をつけましたが、
今後日本で斜陽化した企業が
次々と中国資本の買収の対象になることが考えられます。
日本の企業が海外に進出して企業買収をするだけでなく、
逆に日本企業が買収の対象にされることが
盛んになると考えてよいでしょう。
グローバル化とはそういうことですが、
そこに至るまでに色々な障害が考えられます。
その障害を取り除く作業が
次の金儲けのタネの1つであると考えていいのではないでしょうか。


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2011年8月13日(土)

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