第4164回
成長業種を選んでも挫折するわけ
人に自慢できるような成功した話はいくつもありませんが、
失敗した話ならいくらでもあります。
ですから私には失敗話をタネにして書いた本も何冊かありますし、
それで原稿料を稼いだこともあります。
というのも成功するためには
多くの条件が揃わなければなりませんが、
それらの条件のどれか1つが欠けても
思わぬ失敗に見舞われるからです。
株で思わぬしくじりをした話を2つ3つ申し上げましたが、
あてをはずされたことならもっとたくさんあります。
私がどんな株を成長株として取り上げるかは比較的簡単で、
皆さんが考えるほどきびしい調査をしているわけではありません。
先ず第一はこれから向う3年か5年の間に
この会社の事業内容は陽の当る分野に属するかどうかです。
できれば過去二期か、三期、会社の業績にそれが既に現れており、
着実に配当をしている記録があれば安心です。
但し、業績の伸びが納得のできる方向にあって、
将来が確実視されている場合は例外として扱うこともあります。
もちろん、配当以上に重視するのは業績と利益の伸びです。
毎期50%前後の売上げと利益の成長が期待できれば
とりあえず及第点です。
しかし、この条件が充たされるためには
高収益の企業であることが必要です。
日本の上場企業のように
5%とか3%とかの計上益しかない企業は先ず落第。
調べたらすぐにわかることですが、
中国株の中には利益率が売上げの50%を越える企業が
珍しくありません。
そういう部類に属する企業なら、
世界的な不況や大暴落の大波の中をくぐらせても、
またこちらがかなりの高値づかみをした場合でも
必らずそれを乗り越えて利益をあげてくれます。
ところが、以上の条件を充たすかに見える企業にも
思わぬ落とし穴があります。
経営能力がそれに伴わなければ宝の持ち腐れになるからです。
失敗の大半は経営者の能力と人格にあり、
私にそれを見破るだけの能力がなかったことが
失敗をもたらすのです。
事前にそれがわかっておれば、
えらい目にあわされないですむのですが。
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